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ヒョウモントカゲモドキとは
ヒョウモントカゲモドキとはそもそもどのような生き物なのでしょうか。まずは、特徴や生態、歴史などを見ていきましょう。
特徴

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ヒョウモントカゲモドキはヤモリの一種で、豹のようなまだら模様の体色が特徴です。全長は大きくなっても20~25cm前後と比較的小型で、動きもそれほど素早くないので初心者でも飼育しやすく、ペットとしての人気が急上昇しています。自然下ではアフガニスタン南部・東部、インド北西部、パキスタン南部などに分布しています。
ペットとしての歴史
ヒョウモントカゲモドキはペットとしての歴史も古く、1970年代に作出されたハイイエロー以降、様々な品種も作出されてきました。日本で人気が出る前には、北米や欧米でヒョウモントカゲモドキをペットとして飼育する文化がありました。
生態

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爬虫類の多くは夜行性ですが、ヒョウモントカゲモドキも同様に、主に夜に活動します。日中は隠れ家などでじっとしていることが多いですが、季節によっては薄暗い時間帯でも活動することもあります。また、ヒョウモントカゲモドキは危険を察知すると尻尾を自切する「とかげの尻尾切り」をする生態も知られています。
寿命
ヒョウモントカゲモドキの平均寿命は10年前後とされていて、ペットとしては比較的長寿です。長生きの記録としては、メスのヒョウモントカゲモドキで22年、オスのヒョウモントカゲモドキでは、なんと29年というのがあり、飼育環境などによってはかなり長生きする生き物です。自然下での寿命は30年近いとされています。
販売価格

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ヒョウモントカゲモドキの販売価格は体色により様々で、オーソドックスな種類で5000~10000円前後、珍しいものになると10万円にも上る個体もいます。以前に比べると、ブリード個体が多く流通するようになってきたため、価格はかなり安くなっていると言えます。
レオパードゲッコーはヒョウモントカゲモドキの英名
レオパードゲッコーという名前を目にすることがあるかと思いますが、これはヒョウモントカゲモドキの別名です。ヒョウモントカゲモドキという名前が和名であるのに対し、レオパードゲッコーという名前は英名となり、同じ生き物を指しています。
ヒョウモントカゲモドキの魅力
多くの愛好家が魅了されるヒョウモントカゲモドキの魅力とは、一体、なんなのでしょうか。
なんといっても仕草・見た目が可愛い!

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ヒョウモントカゲモドキの大きな魅力と言えば、なんといっても仕草や見た目の可愛らしさにあります。ヒョウモントカゲモドキは動きがゆっくりで、寝ている姿などはとても癒されます。また、ヒョウモントカゲモドキにはトカゲの仲間にはないまぶたがあるため、眠たそうにしている様子なども表情に現れます。さらに、まるでお菓子のようなカラフルな体色はとってもキュートです。
ヒョウモントカゲモドキはなつく

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爬虫類は人にあまりなつかず、ハンドリング(手で触る)ができない種類もいますが、ヒョウモントカゲモドキはなつきやすくハンドリングも楽しめる種類です。ペットとして飼育するからには、手で触れ合いたいという人も多いと思いますが、その点でヒョウモントカゲモドキは大きな魅力です。
ヒョウモントカゲモドキは丈夫で長生き

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寿命についてご紹介した通り、ヒョウモントカゲモドキは長寿であるため、長い間飼い主と暮らすことができます。また、特定の病気には注意が必要なものの、基本的にヒョウモントカゲモドキはとても丈夫な生き物で、爬虫類飼育初心者でも失敗することが少ないです。丈夫で長生きしてくれるというのは、ペットとして大きな魅力といえます。
ヒョウモントカゲモドキの種類(モルフ)

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ヒョウモントカゲモドキにはたくさんの種類(モルフ)がいます。人気の種類についてご紹介していきます。
そもそもモルフって?
爬虫類で使用されるモルフという言葉ですが、これは体色や大きさなどの特徴で分類した特定のグループを指します。生き物の種に対して与えられたグループではなく、掛け合わせによって様々な表現を固定化したものに対しての呼び名で、品種のようなものです。ヒョウモントカゲモドキの場合は、主に体色と目の色によってモルフが作られています。
CBやWDってどういう意味?
ヒョウモントカゲモドキを販売しているショップによっては、CBやWDといった英語が記載されている場合がありますが、これはブリード・ワイルド個体を記すものとなります。
CB(Captive Breed)・・・ブリード個体から人工的に繁殖させた個体
WC(Wild Caught)・・・野生で捕獲した個体
以前に比べると、WC個体はほとんど見かけなくなりました。また、CB個体の方が生まれた時から人と触れ合っているため慣れやすいので、これからヒョウモントカゲモドキを飼育しようと考えている人は、CB個体を入手すると良いでしょう。表記がないものは基本的にはCB個体と思って大丈夫ですが、気になる方はショップに問い合わせてみてください。
代表的なモルフ
ヒョウモントカゲモドキの代表的なモルフをご紹介します。ご紹介しているモルフはほんの一部分で、バリエーションは多岐に渡ります。
体色・体の模様のバリエーション
ノーマル
野生種に最も近い体色をしています。意外と流通量は少ないです。
ハイイエロー
黄色味がかった下地に、黒斑が散りばめられたモルフ。流通量も多く、ハイイエローの中でも色の幅は広いです。
タンジェリン
オレンジ色が目を引く人気のモルフ。ヒョウ柄が少ないのも特徴です。
アルビノ
色素欠乏を固定化したモルフで、トレンパーアルビノ、ベルアルビノ、レインウォーターアルビノとい3系統に分けられます。
マックスノー
白地に黒の斑点というシンプルな体色が魅力のモルフです。成長につれ、黄色味が出てくる個体もいます。
メラニスティック
メラニンにより黒色が強く現れるモルフです。流通量は少なく、価格もやや高価です。
ブリザード
全身の模様が消え、白みが強いモルフです。
目のカラーバリエーション
アルビノ
虹彩が白で、縦に黒の瞳が見える、ザ・爬虫類の目のタイプです。
ソリッドアイ
虹彩と瞳が同色になるタイプで、ソリッドブラックアイとソリッドレッドアイの2タイプがあります。
マーブルアイ
まだら状に黒色が現れる珍しいタイプです。
コンボモルフでばりバリエーションはさらに豊富に
タンジェリンアルビノ
アルビノとタンジェリンを掛け合わせたモルフで、アルビノの種類によって表現方法も変わってきます。
ハイポタンジェリン
タンジェリンとハイポメラニスティックを掛け合わせたモルフ。
ラプター
レッドアイ・アルビノ・パターンレス・トレンパー・オレンジの頭文字を取って、ラプター(RAPTOR)と呼ばれています。
ブレイジングブリザード
ブリザードとトレンパーアルビノを掛け合わせたモルフで、白さが際立ちとても綺麗です。
ヒョウモントカゲモドキの飼育の基本
ヒョウモントカゲモドキの基本的な飼育方法について、詳しくご紹介していきます。
飼育に必要なもの
飼育ゲージ
ヒョウモントカゲモドキは全長25cm程度まで成長することを考えると、最終的には体長の2倍程度の幅のゲージがあるととてもよいでしょう。ただし、ヒョウモントカゲモドキは高い所に登ったりはしない生き物ですので、高さは必要ありません。小さい頃は小型のゲージでも飼育できますが、1年もすればアダルトサイズになりますので、最初から大きめのゲージを用意した方がお得です。
底床材
ヒョウモントカゲモドキの底床には、砂や人工芝、キッチンペーパーなどが用いられます。メンテナンス性を考えるとキッチンペーパーが初心者にはおすすめです。砂は自然環境に近く、見た目もかっこいいですが、こまめな掃除をしないと臭いが出たりしますので、注意が必要です。
ヒーター
ヒョウモントカゲモドキの保温には、パネルヒーターや保温球、セラミックヒーターが用いられます。この中ではパネルヒーターが最も手軽ですが、地面を温めるだけで、空気中を温める力はほぼないので、冬期には保温球などを追加してあげましょう。
温度計・湿度計
変温動物であるヒョウモントカゲモドキに適した温度を管理するために温度計は必須です。また、ヒョウモントカゲモドキは乾燥にも気をつけなければいけませんので、湿度計も必要となります。
シェルター(隠れ家)
夜行性であるヒョウモントカゲモドキは、日中寝ていることが多いです。安心して休むことができるよう、シェルターを入れてあげましょう。素焼きの専用フィルターが使いやすくおすすめです。
水入れ
ヒョウモントカゲモドキが飲みやすい底が浅いタイプを選びましょう。また、ヒョウモントカゲモドキがのっかてもひっくり返ってしまわないような重さ・安定感があるものが適しています。
飼育がはじめての人はセットがお得
これから飼育を始める人は一つ一つ道具を揃えるのが大変なものです。そんな時は飼育セットがおすすめです。飼育セットはゲージやシェルター、気温計など基本的な道具が同梱されており、価格もお得なものが多いです。まずは基本セットを購入し、さらに必要なものについては追加で購入したり、使いづらいものは後から買い換えてみると良いでしょう。
ジェックス ヒョウモントカゲモドキ飼育キット
日頃の管理方法
温度・湿度
ヒョウモントカゲモドキは変温動物であるため、ケージ内には温度勾配をつける必要があります。パネルヒーターと保温球などを用いて、低温部を28度程度、高温部を32度程度に設定してあげます。パネルヒーターはゲージの底面全部に引くのではなく、半分程度にしてあげるとヒョウモントカゲモドキが気温に応じて自由に移動できて良いです。
湿度は40~60%程度が適しているとされています。日本は比較的湿度が高いので、それほど神経質になる必要はありませんが、乾燥しやすい秋から冬にかけては、1日一度、霧吹きで湿度を調整してあげる必要があります。
ゲージの掃除
ヒョウモントカゲモドキのゲージの掃除ですが、フンや尿を見つけたらその都度取り除いてあげるのが最適です。底床にキッチンペーパーを使っている場合は、ペーパーごと取り替えてあげましょう。砂を使用している場合は、汚れた箇所を取り除いてあげます。月に1〜2度程度は、ゲージを丸洗いしてあげるとなお良いです。
ヒョウモントカゲモドキの餌

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ヒョウモントカゲモドキの餌には、コオロギやミルワーム、デュビア、ピンクマウス、人工飼料などが用いられます。餌やりはバランスよく与えることが重要ですが、ミルワームは高脂肪で消化がよくないので与えすぎには注意が必要です。ピンクマウスや人工飼料は個体によって好き嫌いが分かれますので、見極めが重要です。基本はコオロギを主食とすると良いでしょう。
餌を与える頻度ですが、コオロギの場合は幼体では毎日、成体であれば2~3日に一度5匹程度とします。餌を与える際は、ゲージに放つのではなく、ピンセットで口元に持っていってあげます。ゲージに放つと、コオロギがヒョウモントカゲモドキに噛み付いて怪我をさせる場合があるからです。食べ残しがある場合も、しっかりと回収してあげましょう。
ヒョウモントカゲモドキの餌については、別記事でさらに詳しくご紹介しています。
*近日公開
ヒョウモントカゲモドキのハンドリング方法
ヒョウモントカゲモドキはハンドリングを楽しむことができる生き物です。ですが、可愛いからといって触りすぎると、ヒョウモントカゲモドキは大きなストレスをかけてしまいます。はじめはお腹の下から優しく持つ訓練からしてみましょう。嫌がるようでしたら、無理に続けず手を離し休ませてあげましょう。決して強く掴んだりしてはいけません。
慣れてきたら手のひらを動かして持ち上げたりしてみましょう。ただし、慣れていたとしても頭部を触られるのは基本的に嫌がりますのでやめましょう。また、アルビノなどの視力が弱い種類は臆病だと言われています。より時間をかけじっくりとハンドリングの訓練をしてあげましょう。
ヒョウモントカゲモドキの多頭飼育
ヒョウモントカゲモドキの多頭飼育ですが、基本的にはやめてあげた方が無難です。相性がよければ可能な場合もありますが、餌の取り合い・喧嘩などのトラブルが起こることも多いので、初心者は多頭飼育は避けましょう。ヒョウモントカゲモドキはハーレムを作る生態が知られていますので、もしも、多頭飼育にチャレンジする場合は、オスメスのペアか、オス1匹に対してメスを2匹以上という組み合わせが良いです。ゲージも60cm以上の余裕のあるものにしましょう。
トイレのしつけは可能?
ヒョウモントカゲモドキは、ある程度決まった場所にトイレをします。そのため、トイレを覚えさせることもできます。トイレにする場所はキッチンペーパーを敷き、ゲージの隅の方にしましょう。トイレ以外の場所にヒョウモントカゲモドキがトイレをしてしまった場合は、すぐにフンや尿を取り除き、消臭剤で臭いを消しましょう。
ヒョウモントカゲモドキは自分自身でフンを移動してしまうこともあります。そのままにしておくと、ゲージ内の色々な場所にフンが散らばりトイレの場所がわからなくなってしまいます。そうならないためにも、こまめな掃除は必要です。
ヒョウモントカゲモドキの繁殖方法
ヒョウモントカゲモドキは比較的用意にブリーディングできる爬虫類です。ここでは、繁殖方法の基本についてもご紹介します。
オスメスの見分け方
ヒョウモントカゲモドキの雌雄は、総排出口付近にあるクロアカルサックの有無で区別できます。成熟したオスはクロアカルサックと呼ばれる2箇所の盛り上がりがありますが、メスにはそれがありません。
また、総排出口の頭側にある鱗ん並び方でも雌雄を区別することができます。オスでは前肛孔と呼ばれる小さな穴が空いた鱗がV字に並びますが、メスにはそれがありません。
さらに、オスは体ががっしりとしているのに対し、メスはオスに比べるとふっくらした体をしています。ただし、これまで挙げた見分け方は、未成熟の個体は区別が難しいため、成熟した個体で判別する必要があります。
クーリング
クーリングは、ヒョウモントカゲモドキの繁殖を誘発させるために必要なステップです。冬に約2ヶ月ほど餌を切った状態で休眠状態にさせます。その後、徐々に気温を上昇させることで、繁殖行動に誘導することができます。
クーリングの温度ですが、普段30度前後で管理している場合、2週間ほどかけてゆっくりと18度程度に下げてあげます。クーリング中のヒョウモントカゲモドキは尾に貯めた脂肪を燃焼させてエネルギーとしますので、餌やりは不要です。ただし、クーリング前までにはしっかりと栄養をつけておくことが重要です。
ペアリング
クーリングを行なった後は、いよいよペアリングです。同じゲージにクーリング後の成熟した雌雄を入れてあげます。相性がよければ、オスが尾を震わせてメスに求愛します。その後、メスが受け入れると交尾行動に移ります。求愛から後尾までは長くても3日ほどで完了します。
産卵準備〜産卵
しばらくするとメスの卵が大きくなってきて、お腹が膨れてきますので、産卵床を用意してあげましょう。ヤシガラや黒土、バーミキュライトなどを使って5cmほど敷いた産卵床を準備します。産卵床はタッパーなどに入れ作り、ゲージの一部に設置しましょう。
メスは産卵床に穴を掘り卵を産み付けますので、すぐに回収してしまいましょう。産卵床以外に、水入れの中などに産み落としてしまう場合もありますので、そのような場合もできるだけ早く回収しましょう。
ヒョウモントカゲモドキは1ヶ月の間に数回の産卵をします。産卵後の親個体は体力も落ちていますので、栄養価の高い餌をたくさんあげて体力を回復させてあげましょう。
孵化
回収した卵は孵化床に移してあげます。孵化床は小さなタッパーなどにバーミキュライトや赤玉土を入れ、十分に水分を含ませます。卵は温度30度前後で、直射日光に当たらない場所で管理します。湿度は80~90%程度で維持してあげる必要があります。
孵化までにかかる日数は1ヶ月〜2ヶ月です。途中で変色してしまったり、凹んでしまった卵は発生が止まっている卵ですので取り除きましょう。ただ、基本的には孵化まで卵は触らず管理します。
ヒョウモントカゲモドキの気をつけたい病気・怪我

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ヒョウモントカゲモドキを飼育する上で覚えておきたい、病気や怪我についてご紹介します。
くる病
くる病は背骨や手足が変形してしまう病気で、カルシウム不足などが原因とされています。治療はカルシウムの経口投与などを行います。カルシウム剤などを用いてしっかりとカルシウムを補給してあげましょう。ただし、過剰に与えてしまうのも病気の原因となりますので注意です。
クリプトスポリジウム感染症
ヒョウモントカゲモドキが痩せてきたり、嘔吐をする症状が出た場合はクリプトスポリジウム感染症が疑われます。クリプトスポリジウム感染症の原因には様々な寄生虫が関係しています。これらの症状が現れたら、病院を受診しましょう。
脱ヘミペニス
交尾の後にオスのヒョウモントカゲモドキはペニスが肥大化しますが、そのまま戻らなくなってしまうのがこの病気です。通常は1週間程度で元に戻る場合がありますが、再発の可能性もありますので病院でしっかりと診てもらいましょう。
脱皮不全
古くなった皮膚は剥がれ落ちていきますが、皮膚の一部が残ったままになってしまうのが脱皮不全です。古い皮膚が残ってし待っている場合は、ピンセットなどで綺麗に取り除いてあげましょう。脱皮不全は湿度が低いと起こりやすいので、ゲージ内の湿度はしっかりと保つようにしましょう。
腸閉塞
お腹が異常に膨れ上がったり、食欲が長期間低下した場合は腸閉塞が疑われます。床材を誤飲したりする場合になることが多いと言われています。腸閉塞が疑われたら、病院に連れて行きましょう。
愛嬌たっぷりのヒョウモントカゲモドキを飼ってみよう!

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ヒョウモントカゲモドキは表情が豊かで、見ているだけで癒されます。今回ご紹介した飼育の基本をおさえておけば、ヒョウモントカゲモドキの飼育はそれほど難しくありません。ぜひあなたも飼育にトライして、ヒョウモントカゲモドキとの楽しい生活をエンジョイしてみてはいかがでしょうか。
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